こんにちは!はねうさぎです(@haneusagi_com)です。
今回ご紹介するのは、2021年1月3日までが会期となっていた、森美術館の「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」です。
コロナ禍で、欧米ではロックダウン、日本でも緊急事態宣言が発令され、この記事を書くべきかどうかずっと悩んでいました。
悩んでいるうちに展示が終わってしまったという・・・汗
ですので、この記事は自分の備忘録的な意味合いで書きますが、本来予定されていたイベントやトークショーなどはオンライン化されており、動画で見る事もできますので合わせてご紹介します。
実際に森美術館を訪れたのは、まだ日本の状況が安定していた12月初旬でしたが、美術館内は人数制限と検温、消毒を行っておりましたので、森美術館の衛生管理ポリシーに基づき、作品を楽しんできましたのでご承知ください。
「STARS展」その名の通り世界的に有名な現代アートのトップランナー6名の展示会
「STARS展」とは良く言ったものです。
世界的に著名な現代アートのアーティスト6名の作品を一気に見れると言う、現代アートファンにはお盆と正月一緒に来ちゃってクリスマスと誕生日も追加!みたいな企画。
日本へ一時帰国すると必ず一緒に美術館へいくスコットランド人の友人がいて、今回も彼女と一緒に行ってきました。
出展アーティストは以下です。※姓のアルファベット順
草間彌生、李禹煥(リ・ウファン)、宮島達男、村上 隆、奈良美智、杉本博司
何て豪華!!!
ちなみに、お恥ずかしながら、李禹煥(リ・ウファン)さんと杉本博司さんの事はこの展示会で初めて知りました。
ただ、どの作品も素晴らしく、何と言ってもあの美術館の空気感と、どっぷり作品につかりながら自分自身との対話を静かに行える場所に行けたことにとても感謝しています。
心が洗われます!
公式サイトへ行くとアーティストの情報は見れますが、こちらでも簡略化してご紹介します。
森美術館の動画チャンネルでギャラリーツアーをやっています。興味のある方はぜひ❣
STARSその1:草間彌生
草間彌生は、1929年生まれの日本の芸術家。長野県松本市生まれ。
「ドットの女王」としても知られており、「常同反復」や「増殖」「集積」と呼ばれる、水玉模様や反復模様を使った作品が有名です。
これらは、幼い頃から悩まされていた幻覚や幻聴から逃れるために、それらの幻覚・幻聴を絵にし始めた事と言われています。
もともとは、京都市立美術工芸学校(現:京都市立銅駝美術工芸高等学校)で「日本画」を学びました。
ニューヨークに拠点を移した後、網目模様が画面を覆う作品や無数の突起物が家具などに縫い付けられた抽象表現作品を発表。当時ミニマリズムやポップ・アートの先駆的な作品として欧米で高く評価されました。
「STARS展」では、ニューヨークを拠点にしていた1960年頃の初期作品から、1993年の第45回ベネチア・ビエンナーレに日本館代表として出品した《天上よりの啓示(B)》(1993年)や《ピンクボート》(1992年)、さらに最新の絵画シリーズの「わが永遠の魂」までを紹介しました。
個人的に草間さんは大好きな現代アーティストの一人です。
今回の「STARS展」では、すでに見た過去の作品数点のみの展示だったので真新しい印象はありませんでしたが、やはり良かったです^^
現在は80歳を超えておりますが、永遠に生きて欲しい・・・苦笑
「わが永遠の魂」展示会も行きましたし、デンマークのルイジアナ美術館でも作品を堪能しました。
あとは、草間彌生美術館へ行かなければ!
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STARSその2:李禹煥(リ・ウファン)
李禹煥(リ・ウファン)さんは、韓国生まれで日本を拠点に世界的に活動しているアーティストで多摩美術大学名誉教授。
2007年にフランス政府より「レジオンドヌール勲章」を叙勲され、2010年に直島に安藤忠雄とのコラボレーションによる李禹煥美術館を開館しています。
1956年に来日した李は、1968年頃に本格的な作家活動と評論活動を始めます。出品作の《関係項》(1969/2020年)は、後に李が理論的支柱となる「もの派」という当時の動向を最も良く象徴する作品でしょう。彫刻か絵画かに関わらず、対象となるもの同士やその周囲にある空間や余白の出会い、相互依存関係によって作品が成立するという考え方は、出品作の《関係項-不協和音》(2004/2020年)や絵画シリーズ「対話」から2019年と2020年に制作された新作2点にも一貫して見ることができます。
個人的に、リ・ウファンさんの展示は自分でも驚くくらい、とても気に入りました。
空間の使い方、作品の発想、点と点が線になるような感覚が非常に心地いい空間を作り出していました。
お名前知らなかったなんて、失礼だったわ・・・汗
いつか憧れの直島へ行って、美術館も見てみたいです。
STARSその3:宮島達男
宮島達男さんは、1957年、東京都出身の現代美術家です。
国際美術展ヴェネチア・ビエンナーレの若手作家部門で注目を浴びて以来、日本を代表する現代美術アーティストのひとりとして、国内外で精力的な活動を続けています。
大学では油絵を学びましたが、油絵では自分の言いたいことを表現できないもどかしさがあると感じ、現在でも作品制作のテーマとなっている「それは変化し続ける」、「それはあらゆるものと関係を結ぶ」、「それは永遠に続く」の3つのコンセプトを形にする手段を模索していたところ、LEDと出会います。
宮島さんの主な作品は、暗い部屋にLEDデジタルカウンターが置かれており「1」から「9」までの数字をそれぞれがそれぞれ違うスピードで数字を刻むというもの。
人間がうまれて死んで再生すると言う東洋的「輪廻」の発想をデジタルカウンターで表現しているのだそうです。
「STARS展」では、「時の海―東北」プロジェクトで現在までに制作されたデジタルカウンターをすべて集めた最新作が、一般参加者がカウンターの速度を設定する様子などが収められた記録映像と一緒に公開されました。
展示では、暗くてよく見えなかったのですが水の上に沢山のLEDカウンターが点滅しており、水滴のような音が聞こえて、とても不思議な気分になる展示でした。
素晴らしかったです!
STARSその4:村上隆
村上 隆さんは、1962年生まれの日本の現代美術家、ポップアーティスト、映画監督です。
若い頃から大のアニメファンで、自身もアニメーターを心差していましたが挫折し、東京芸大で日本画を学びました。
その2つのバックグラウンドが影響し合い、日本アニメポップ的な作風と浮世絵等の日本画のフラットな構成が交じり合う様な作品が多いです。
中でもアニメ、フィギュアなどいわゆるサブカルチャーであるオタク系の題材を用いた作品が有名。
作品では平坦な画面構成、色彩豊かな装飾、大胆な構図、奇抜なデフォルメ、遊び心に溢れたイメージを表出し、「奇想の系譜」と呼ばれる江戸期の絵師から現代の漫画家やアニメーターに至るまで、日本文化の水面下で脈動する造形精神を表象しています。村上の活動の根底にある問題意識は、欧米の価値観とは異なる日本発の言説を世界の美術界で確立することにあります。それを実現するため、欧州の美術制度の導入によって抑圧された美学を回復し、第二次世界大戦後に生きる日本人の姿を様々なプロジェクトを通して表現してきました。
フランスやドイツでも精力的にイベントや展示会を行っており、私のドイツ人の友人は彼の大大大ファンなので、欧米人からも高く評価されています。
「STARS展」では、村上の初期作品から東日本大震災への呼応として制作された巨大な鬼の彫刻作品と最新ビデオ作品までを紹介しました。
また、各雑誌でも取り上げられて話題となったこのSTARS展のために新しく制作された巨大絵画《チェリーブロッサム フジヤマ JAPAN》(2020年)は、観光名物としての絵画をアイロニカルに描き出した野心作です。
イベントも予定されていたそうですが、コロナでオンラインとなり残念ですが、動画でご覧いただけます。
STARSその5:奈良美智
ドイツ在住ならば知らない人はいない日本の現代美術アーティストの奈良美智(なら よしとも)さん。
いつも一緒に美術館巡りをする私の友人は彼の作品が大好きで、2001年に横浜美術館で個展があったときも一緒に行きました。
奈良 美智(なら よしとも)さんは、1959年生まれの日本の画家・彫刻家で、世界的に評価されている美術作家さんです。ニューヨーク近代美術館(MoMA)やロサンゼルス現代美術館にも作品が所蔵されています。
奈良さんは、1988年のドイツ国立デュッセルドルフ芸術アカデミーへの入学以来2000年まではドイツで制作活動を行っていました。
2000年に日本へ帰国し、その後、シカゴ現代美術館、サンタモニカ美術館での個展、2001年には日本国内国内5館を巡回する個展が開催されるなど、国内外で意欲的に活動しています。
「STARS展」では、作家活動最初期の1980年代から2020年までの活動の変遷を見せると共に、奈良美智の創作世界を体験できるものとなりました。初公開の15点を含む初期作品約20点、コラボレーションなどで幅が広がった中期の代表的なインスタレーション作品である《Voyage of the Moon(Resting Moon) / Voyage of the Moon》(2006年)、新作《Miss Moonlight》(2020年)を含む大型肖像絵画、そして奈良本人の多様なコレクションなどを展示しました。
小屋のような小さな家にお月様をイメージさせる子供のドデカ顔があしらわれている「Voyage of the Moon」は遊び心いっぱいでとてもかわいかったです。
また、奈良さんの「自分にとっては旅はライフワークであり、アートはその中の一部でしかない」という言葉にとても共感します。
STARSその6:杉本博司
杉本博司(すぎもと ひろし)さんは、1948年東京生まれの日本の写真家です。
東京及びニューヨークを活動の拠点としているそうです。
今回、初めて知ったのですが、香川県の直島の護王神社『アプロプリエイト・プロポーション』の建築を手がけたそうです。
こう考えると、「直島パワー」凄いですね・・・直島へ行くだけのために世界中のアートファンが日本へ来ると言っても過言ではありませんから、私もいつか行ってみたいです。
Wikipediaによりますと
彼が渡米した時期のアメリカでは、メディアにおける映像の氾濫により現実が変容した状況が指摘され、「あるがままの世界」を写すというストレートフォトグラフィの理念の失効や、ピクトリアリスムの再評価が主張されるなど、写真においてもモダニズムが問い直されポストモダニズムが勃興する時期だった。
とのこと。
私は写真や写真家さんのことは良くわからないのですが、杉本さんは、人間の見ることのできる共通・普遍の風景を模索した結果、海の水平線へとたどり着き、その為、世界各地の海や湖で同じ風景を撮影してくるというシリーズが始まったそうです。
なんだかすごく哲学的ですね。(まあ、現代アートってそんなものです)
白黒の水平線に差す光を映し出した写真が、並行して縦に展示されており、パッと見た目は空か宇宙でも映し出した写真かな?と感じるのですが、よく見てみると「水」を感じる・・・そうか、水平線か!という驚きの後に、何とも言えない白黒でありながら、心の中で海や湖のカラートーンの美しさを感じることができる作品でした!
「STARS展」ではアーティストのアーカイブ展示あり
今回の展示会では、各アーティストの過去の作品はもちろんの事、新作を発表したアーティストもいました。
また、展示で見ごたえがあったのが、各アーティストの「アーカイブ展示」です。
年表のようなパネルと、世界ではどのような動きがあったのか、また、日本のアート(やアーティストが)が世界で注目され始めたきっかけ、時代、分析した理由なども展示があり、それらが並列されて展示されていて、とても興味深かったです。
「日本から世界へ」・・・この展示会がコンセプトとしていた真髄を見たような気がしました。
館内のアーカイブのセクションは撮影禁止となっていましたが、公式サイトを見たら、PDFで各アーティストのアーカイブをダウンロードできるようになっていたので、好きなアーティストの「年表」をダウンロードしてみてください。
私は通常美術館へ行くとポストカードを買って終わりなのですが、今回はポストカードに加えて超分厚い3センチほどの重~いカタログを覚悟して買って、ドイツの自宅まで持ってきました。
カタログにもアーカイブや、森美術館のキュレーターさんが書き下ろした文面も載っているので時間がある時にゆっくりと何度でも読みたいと思います。
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