ドイツ国境のチェコの街へプのレトロミュージアムに行ってきた

チェコのレトロミュージアム

こんにちは!はねうさぎです(@haneusagi_com)です。

チェコ共和国のへプ(Cheb)にある「Retro Museum」に立ち寄ったのでご紹介します!

レトロミュージアムは、チェブにあるギャラリー・オブ・ファインアーツの分館で、他の分野 (建築、音楽) やライフスタイルとオーバーラップする「戦後のデザイン」に焦点を当てています。

現在は、チェコ共和国ですが、冷戦時代は「チェコスロバキア」という国があり、いわゆる共産主義国家独特のレトロな「戦後デザイン」を展示している博物館です。

この施設は、いわゆるシラーハウスの建物を無料で提供したヘブ市の支援により、2014 年 3 月から 2016 年 2 月までの 2 年足らずで完成しました。 

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目次

チェコ共和国のへプ(Cheb)ってどこ?簡単に説明します!

©haneusagi.com

ヘプ(Cheb)は、ドイツ国境にほど近い、チェコ共和国のカルロヴィヴァリ地方にある町で、人口は約32,000人。

中世の時代からバイエルン王国からボヘミア地方への中継地点として栄えました。

ドイツ語ではエーガー(Eger)と呼ばれていて、「?!」と一瞬思いますが、日本語ではローカル発音を重視した「ヘプ」と呼ばれています。

第二次世界大戦終結後の1945年に、ドイツ人達がチェコから追放される以前のヘプは、オーストリア北部バイエルン地域の一部である「エガーランド」として知られていました。

現在でも、ドイツとの国境に近いため、ドイツ語圏からの観光客も多く、街ではドイツ語も通じます。

また、第一次世界大戦終了までは、あのハプルブルグ家が支配していたオーストリア・ハンガリー帝国の一部だったので、建物や街の雰囲気は少しオーストリアでみられる柔らかなスタイルで明るい色合いの建物が多いです。

合わせて読みたい

昔チェコスロバキアってあったよね?でも今は「チェコ共和国」です

レトロミュージアムに行く前に、少し歴史のことについてお話します。

なぜチェコの歴史が重要なのかと言うと、それを知っていた方が、このレトロミュージアムを2倍楽しめるからです。

「チェコスロバキア」という国名と聞いたことがある方もいるでしょう。

チェコスロバキアは、1918年から1992年にかけてヨーロッパに存在した国家。

現在のチェコ共和国及びスロバキア共和国により構成されていた。

~中略~

1948年からはチェコスロバキア共産党の事実上の一党独裁制によるソ連型社会主義国となり、1960年から1989年まで、国名は「チェコスロバキア社会主義共和国」であった。

Wikipedia

もともとチェコ人とスロバキア人は同じ西スラブ族で、5〜6世紀にかけて現在のボヘミアとモラヴィア、スロバキアに移住してきたと言われています。

言語的にもとても近く、お互いの言っていることはほとんど理解できるそうです。

はねうさ夫の友人を訪ねてプラハに行った時に、夫はチェコ人、妻はスロバキア人というお2人と話をする機会があり、そのように話していました

チェコ人もスロバキア人も、大元は同じ民族であったと考えられていますが、チェコは政治的・歴史的にもドイツやオーストリアとの関係が深く、長い歴史の中で文化的にもユニークな発展を遂げました。

一方で、スロバキアはハンガリーとのつながりが強く、地域的な特徴から見ても農業や林業従事者が多かったため、チェコの発展状況とは違っていきました。

そこで、お互いへの民族意識の高まりが分かれて行きました。

実際、チェコスロバキア時代は、チェコ人とスロバキア人の対立が頻繁にあったと聞いています。

「似た者同士だけど、俺たち違う民族だよね、別々の国家をつくろうぜ」みたいな流れになり、「チェコスロバキア」は分離しました。

ヨーロッパに住むなら絶対に必要な知識「社会主義国って何?」

チェコスロバキアは、1948年から1989年までの間存在した東ヨーロッパの国名で、社会主義国でした。

社会主義国と名乗っていましたが、発端は共産主義国。

ここで少し豆知識なのですが、「社会主義って何だろう?」と言うことを少しご説明します。

ご存知の方は飛ばしてください。

チェコスロバキアと、レトロミュージアムの関係は重要ですからね。

日本人の感覚だと、社会主義国と共産主義国の大きな違いはあまりピンときませんが、旧ソ連の息がかかっていたチェコスロバキアは41年もの間、この政治システムを導入していました。

社会主義とは、

生産物・富を民主的に分配するため、生産手段を社会の共有とする制度、およびそういう制度の実現を目的とする社会思想・社会運動。

Google辞典

つまり、国が国民の給与や資産を管理することで、人間みな平等のシステムを築き上げようとするシステムの事です。

残業しようが怠けようが、一生懸命働いたお給料は、国が管理し、国民に平等に分けるというアイディア。

土地に対しても一緒で、私有地を個人で購入したり販売したりすることは許されていません。

国が管理していますからね。

一方で

共産主義とは、

財産の私有を否定し、すべての財産を共有することによって、平等な理想社会をつくろうという思想。

階級対立のない共同社会。広義には、プロレタリア革命によって権力を獲得した労働者階級が生産手段の社会化をなしとげて築く、社会主義と呼ばれる低い段階と、狭義には、そのもとで発展する高い生産力によって、「各人は能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」という状態が生まれた高い段階の社会をさす。

三省堂 大辞林
つまり、国民個人が財産(個人貯蓄など)を持つことや、階級制度を禁止するなど、社会主義をさらに発展させた思想・考え方の事です。
社会主義よりもさらに上のレベルを行く「完全平等主義」、または「必要な時に必要なだけしかモノやお金を受け取れないシステム」ということです。
歴史上、共産主義が正しく確立された国は無いと言われていますが、当時のソビエト連邦が社会主義を導入したことで、人々は「これからは社会主義のブームか?!」と期待しましたが、ソ連は崩壊。
日本では当然ですが、資本主義が導入されており、基本的に「頑張って働いた人」や「知恵や経験で仕事を発展させた人」がお給料を多く受け取り、富が発展し、車や家や土地を購入し、自己資産として保持・運用することが可能です。
社会主義の場合は、どんなに働いても皆平等ですので、結果的には、怠け者が続出して利益がうまれない。
例えば、「俺こんなに頑張ってるのに、アイツは喋ってばっかでサボりっぱなしだし、何もしてないじゃん。なんで俺たち同じ給料なの?」と不満になりますよね。
そして、レストランへ行っても笑顔が無い(笑顔でいようが、ブーたれていようが、まずい食事を提供しようが、生活・給料は皆同じ)という国民生活だったので、結果的に、皆が怠けて生産性は上がらず、経済もうまく回らなかったため、そのシステムを取り入れたソ連は、崩壊してしまった・・・と、言われています。
ドイツも第二次大戦の敗戦により、ソ連の影響を受け、歴史的に東西に分かれてしまいました。
この時の旧東ドイツ側は、社会主義(人によっては共産主義と言っている人もいますが)を採用していたので、この話を考えると、ドイツが東西に分かれてしまい、現在でもその歴史がドイツ人の考え方や地域経済に大きく影響していることは想像できることでしょう。
良いとか悪いとかは別にして、日本人でも、ドイツの北側や東側に長年住んでいる方、ベルリンの特定地域に住んでいる方は、この思想に強い影響を受けている方が多くみられます。
逆に、旧東側に住んでいたドイツ人たちの社会主義、共産主義に対する憎しみは相当なものである人も多いです。
一緒にプラハで食事した私たちのチェコ人の友人もその一人で、生まれたころから資本主義社会で生活している私達には、想像もつかないほどの「アンチ社会主義」でした。
とは言え、男女が政治的意思決定過程に積極的に参画して共に責任を担うという意味で、近年、全世界的に若者(特に女性)に社会主義を支持するような傾向がみられます。
全く別の記事ですが、興味のある方は以下の記事も読んでみてください。「社会主義」に対する理解内容が、時代と人によって違うという内容で、興味深いです。
チェコスロバキアは、1991年にソ連が崩壊する直前の1989年に、社会主義体制から脱却しました。

レトロなデザイン好きにはたまらない!「レトロミュージアム」について

©haneusagi.com

ここから、いよいよ本題!

ヘプのレトロミュージアムに一歩踏み入れると、そこには「チェコスロバキア時代」の人々の生活用品やデザインに触れることができます。

社会主義時代の1960年代から1980年代「チェコスロバキア時代」のデザインとライフスタイルに特化した生活道具や車、家具、製品などの展示を見ることができる博物館となっています。

展示の仕方は、当時の生活をそのまま再現したキッチンやリビングルーム、オフィスの展示、当時国民に人気だったデザインや製品なども展示されています。

ボヘミアンガラスや、陶磁器、ジュエリー、家具、テキスタイル等当時の「レトロ」なデザインながら、現在見てみてもキッチュで可愛い柄やデザインもあり、レトロ好きにはたまらない博物館です。

ヴィンテージの椅子展示もあるので、小さい博物館ながらもインテリア好きにはたまらないので、じっくり見ると楽しいです。

掃除機や洗濯機、ヘアドライヤーなどの電化製品に始まり、古いレコードやラジオ、ソニーのウォークマンなど、自国産業と世界的産業のギャップを垣間見ることができるとともに、近代に至るまでの最新機器の時系列展示でわかりやすく、とても興味深かったです。

●Retro Museum Cheb

ホームページ:http://www.retromuseum.cz/

náměstíJiříhozPoděbrad17, Cheb
+420 354 422 450
+420 725 431 300
Email: info@gavu.cz

営業時間
火曜日~日曜日 10.00–17.00

入場料

一般:80 CZK

高校生、大学生、60歳以上:50 CZK

小学生、中・高校生のグループ:10 CZK

ギャラリークラブメンバー、ZTPカード所持者、ギャラリー評議会カルロヴィヴァリ地域カード、未就学児は、無料。

入場料には、すべての常設展示と、レトロミュージアムと隣接する建物のアートギャラリーの両方への訪問が含まれます。

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