こんにちは!はねうさぎ(@haneusagi_com)です。
ドイツには「第五の季節」と呼ばれるものが存在する事をご存知でしょうか。
クリスマスが終わり、年末年始が終わると、寒くて薄暗い冬本番を実感してしまうドイツの冬ですが、2月には、灰の水曜日(Aschermittwoch)の前日・スミレの火曜日(Veilchendienstag:英語ではパンケーキ・デイとも言う)、ファストナハト(Fastnacht)と呼ばれるこの日に、カーニバルのお祭りは最終日を迎え、ドイツ国内の様々な地域でイベントが開催されます。
そう、カーニバル!
ドイツの2月(年によっては3月)と言えば、カーニバルを祝う月なのです。
この日に近い週末や、この火曜日の前日「バラの月曜日」と呼ばれる日ににパレードが行われる地域もあります。
ちなみに、世界的に有名なカーニバルと言えば、ブラジルのリオのカーニバルですが、ドイツでもお祝いします。
私が通っていたドイツ語学校にも「カーニバルホリデー」という1週間お休みがあり、学校に通っていてもドイツのカーニバルを堪能することができました(2018年の話)。
【カーニバルの歴史】そもそもカーニバルって何を祝うお祭りなの?
「カーニバル」と聞くと、ブラジルのリオのカーニバルやベネチアで仮面をつけるカーニバル、アメリカニューオリンズのマルディグラ・・・などを思い浮かべる方も多いかとお思いますが、一般的には「謝肉祭」のことを指しています。
「謝肉祭」に関して、ドイツ大使館のページでは以下のように説明されています。
「ファッシング」、「ファスナハト」あるいは「カーニバル」は、特にラインラント地方やドイツの中でもカトリックの影響が強い地方の古い風習です。
その中心地はマインツ、ケルン、デュッセルドルフ、ボンです。南ドイツではアレマン地方の伝統的ファスネットを祝います。
この「5つ目の季節」は 11月11日に始まり、灰の水曜日に終わります。お祭りの騒ぎがハイライトを迎えるのはいわゆる「汚れた木曜日」から灰の水曜日 (Aschermittwoch)までの週です。
バラの月曜日(Rosenmontag)には大規模なパレードが行われ、愉快な仮装をしたり、伝統的な民族衣装や仮面をつけてパーティーやパレードを楽しみます。この伝統の起源は冬を追い払う古い風習です。
英語ではカーニバル (Carnival)、ドイツのラインラントではカーネバル またはカーニバル(Karneval)、ドイツ南西部ではファストナハト (Fastnacht)、南部ではファシング (Fasching)と呼ばれています。
オーストリアでもファッシングと呼ばれているとか。
もちろん、私の住んでいる南ドイツではファッシングと言う人が多いですが、私が外国人ということもあり、わかりやすく「カーニバル」と説明してくれる方もいます。
日本語でも「カーニバル」という言葉が使われることはあるかと思いますが、多くは宗教的な意味はなく、謝肉祭でもないので、華やかなパレードの方のみを指す場合がほとんどです。東京浅草のサンバカーニバルが良い例でしょう(笑)
ここからはWikipediaからの引用となりますが・・・
『カーニバルの語源は、俗ラテン語 carnem(肉を)levare(取り除く)に由来する。元々は四旬節が始まる灰の水曜日の前夜に開かれた、肉に別れを告げる宴のことを指した。
ドイツ語のファストナハトなどもここに由来し、「断食の前夜」の意で、四旬節の断食(大斎)の前に行われる祭りであることを意味する。
別の説には、謝肉祭は古いゲルマン人の春の到来を喜ぶ祭りに由来し、キリスト教の中に入って、一週間教会の内外で羽目を外した祝祭を繰り返し、その最後に自分たちの狼藉ぶりの責任を大きな藁人形に転嫁して、それを火あぶりにして祭りは閉幕するというのがその原初的なかたちであったという。
カーニバルの語源は、この農耕祭で船を仮装した山車carrus navalis(車・船の意)を由来とする説もあるが、断食の前という意味の方が古いという研究者もいる』
つまりは、ヨーロッパその土地土地に根付いた春の到来を祝うお祭りが、キリスト教布教の後、謝肉祭となった説が強いのです。
ドイツのカーニバルはなぜ11月11日に始まるのか
この第五の季節と言われるカーニバルは、11月11日の夜11時11分にスタートします。
なぜこの日なのか?
それは、聖マルティンの日でもある11月11日をカーニバルシーズンの開始日と定めている地域が多いようで、ドイツでは、この11月11日の11時11分にスタートする、というのが定説です。
ですので、11月11日に正式にカーニバルの幕開けが宣言され、地域によっていろいろなイベントがあります。
ドイツ国内でも多くの日本人が住んでいるデュッセルドルフでは、この日、カーニバルの精霊ホッペディッツ(Hoppeditz)が目を覚まし、カーニバルの幕開けを知らせるそうです。
ドイツ国内のスーパーやお店などでは、11月11日に「11% RABATT auf alles!(全品11%引き)」などとセールをすることも。
カーニバルの最終日はほとんどの場合、火曜日(灰の水曜日の前日)で、2018年の場合は、2月13日の火曜日と言う事となります。
ケルンでは、最終日前日にあたる月曜日・バラの月曜日(Rosenmontag)に、大きなパレードが開催されます。
>>あわせて読む
https://www.haneusagi.com/diary-german-culture-ash-wednesday
カーニバル/ファッシングのドイツ語ボキャブラリー
- der Karnevall / der Fasching:カーニバル、ファッシング
- der Elferrat:カーニバル協会(議会/ 委員会)。カーニバル期間中に舞踏会、カーニバルセッション、パレードなどのイベントを計画、主催するグループの事。
- der Rosenmontag:バラの月曜日
- der Umzug / die Parade:パレード
- die Weiberfastnacht:バラの月曜日の前の木曜日
- der Aschermittwoch:灰の水曜日
- das Kostüm / die Verkleidung:コスチューム
- die Fastenzeit:四旬節。復活祭(日曜日)の46日前の水曜日(灰の水曜日)から復活祭の前日(聖土曜日)までの期間を指す用語。
- die Büttenrede:手つくりスピーチ。西ドイツの文化的伝統に由来するユーモラスなスピーチで、カーニバル中に行われます。通常、カーニバル大会、カーニバル協会が主催するレヴューのようなイベントで行われます。
- das Tanzmariechen / das Funkenmariechen:カーニバルで特別な制服を着てダンスをする女性
- der Karnevalsverein:カーニバル協会(クラブ)。カーニバルに関連するイベントを組織し、祝うドイツのカーニバル愛好家協会。ケルンでは、委員会と軍団、そして「Veedelsvereine」が区別されています。 カーニバル協会は、カーニバルの主催者でもあります。
- Nubbel:カーニバル期間中に吊るされる藁人形
※1950 年頃に誕生したと言われる等身大の布を着た藁人形の名前で、ケルンのカーニバルではZacheiesとも呼ばれています。カーニバルの季節には多くのバーの上に吊り下げられ、灰の水曜日の夜に儀式の一環として燃やされます。
【体験レポート】バイエルン州最大規模と言われるヴュルツブルクのカーニバルパレード2018
一週間前までは春の訪れを感じる日も多かったのですが、今週に入って寒気がぶり返しています。
待ちに待ったファッシングのパレードの今日。
なのに、何と八甲田山のように雪が降っているではありませんか!
カーニバルのパレードと言えば、ドイツ国内ではケルンやデッュッセルドルフが有名なのですが、おそらくバイエルン州の最大規模のパレードがヴュルツブルクだということで、行ってみることにしました。(ミュンヘンにもパレードがあるようです)
パレードでは、日本のようにブラスバンドはもちろんのこと、バンドが乗っている山車などもあり、色々なコンセプトに飾り立てた山車と仮装した老若男女が町中を練り歩きます。
開始時刻は11:55分。15:00終了予定とのことで、150以上の山車が旧市街地を練り歩きました。
2時間近く外で見ていたので、寒かった・・・カーニバルのパレードに行く際には防寒対策を万全にしていきましょう!
山車からはお菓子が投げられ、仮装した可愛い子供たちがお菓子を取り合う・・・いや!大人も負けていません。私も頑張ってお菓子を拾いました!(笑)
お菓子を入れるバッグや袋を持参していくのをお勧めします!
そして、お菓子だけでなく、お花やニベアクリーム、ドーナッツ(紙袋に入ってた)、なんと嬉しいことに紫色のカイワレ大根や野菜も投げられ(配られ)ます。
私はニベアのボディーウォッシュは逃したのですが、カット野菜のパックとカイワレ大根をGET!w
うれしいです!(完全に主婦目線)
ちなみに、カーニバルには掛け声がありまして、「Helau!」(ヘラウ!)というのですね。
手を一度降るイメージで、手をあげながら(振りながら)皆で「ヘラウ!」と言います。
ちょっと悪除け的な印象がありましたが、意味は不明です。
ドイツのカーニバルは、ドイツ人が羽目を外す日?!
ヨーロッパでも、まじめで働き者、サービス業でも笑顔なんか見たことない・・・くらいの勢いの超まじめでお堅いドイツ人たちですが、カーニバルは何気に彼らにとって羽目を外す日なのか、老いも若きも仮装をし、ビールやワインを飲みながら皆がカーニバルを楽しんでいます。
カーニバルにはパレードのほかにも、有名コメディアンのコメディーショーやトークショー、政治家のトークショーなどのステージが設けられていることが多く、お笑いショーを楽しみにしているドイツ人も多いです。
しかし、なぜカーニバルと政治のつながりがあるのか不思議に思い、ドイツ人の友達に質問してみました。(はねうさ夫は私の質問に回答できず)
彼女曰く、カーニバルそのもの自体の運営には、莫大な資金が必要で、カーニバル協会なるものが運営していたり、ある団体に所属していないとパレードに参加できなかったりトークショーのステージを聞けなかったりするらしく、古くは、(政治家や名声ある方々が)カーニバルをコミュニティなどの人脈作りとして活用していたことが理由だと考えられる、とのことでした。
また、コメディー(お笑い)に関しては、思うがままにならない世界を笑い飛ばそうというポジティブな意味を含んでいるらしいです。
ドイツのお笑いのセンスが全く分からない私にはハードルが高いですが、ドイツ語が堪能な方は、有名地域のカーニバルやコメディーショーの様子などは、テレビでも放映されるので、チェックしてみると勉強になること間違いなしです。
それにしてもドイツの風習には政治風刺とイベントの関連性がよく見られるなあと感じる今日この頃。
以下、ミュンヘンのパウラーナー醸造所(ノッカーベルク)と政治風刺劇の関連の歴史に関しても記事を書いているので、あわせて読んでいただけると幸いです。
https://www.haneusagi.com/travel-germany-munich-paulaner-am-nockherberg
仮装にパレード!ドイツのカーニバルとハロウィンは何が違うの?!
ドイツ人に「カーニバルとハロウィーンの何が違うの?」と聞くと、「ハロウィーンとカーニバルは全く違う!そもそもハロウィーンはアメリカ人がつくり上げたこざかしい仮装イベントだ!」と、鼻息あらくご意見する方が多いのですが・・・(もちろん真実は違います)
実際に、私もカーニバルとハロウィーンは何が違うんだ?と思っていましたが、パレードを見てみて、ハロウィーンとは違うと感じました。
やはりコンセプトが「春の到来を祝う」というところにフォーカスされているように感じました。
コスチュームも、日本のなまはげに近いような厄払い的な意味合いを持っていそうなものや、鮮やかな緑にお花がついた帽子、ミツバチとハチミツなどのコスチュームなどは、やはり春が待ち遠しいなあ~と感じると同時に明るい気分にさせてくれます。
家族や子供連れは「ほのぼの系」ですが、若者は金曜日や土曜日にクラブへ繰り出し、女性はちょっとセクシーなコスチュームでお酒を飲みながら音楽を楽しむ、というところは日本やアメリカのハロウィーンとあまり変わらないところでしょうか。
こちらは10月のハロウィーンと違い、2月ということとおそらく春の到来を祝うという理由からか、動物系の着ぐるみが多いです。
もちろん、パレードでは、クラブ化しているような山車もあり、皆お酒を飲みながら踊っている状態で、楽しかったです。
「2月のドイツは寒いし見るところない!」と思っている方も多いかと思いますが、カーニバルを楽しむツアーを企画している日本の旅行会社もあるようなので、一度体験してみても良いと思います。
お祭り好きの方にはお勧めです!!!
>>あわせて読む
https://www.haneusagi.com/diary-german-culture-halloween-in-germany
https://www.haneusagi.com/diary-german-culture-cologne-carnival2018
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