毎週金曜日は魚の日?ドイツのキリスト教文化に根ざす習慣とは

焼きサーモンとアスパラガスの付け合わせ

こんにちは!はねうさぎ@haneusagi_com)です。

ドイツに来て驚いたことのひとつに、毎週金曜日は「お魚を食べる日」として知られている習慣です。

実はこの習慣、キリスト教の宗教的背景に深く根ざしています。

特にドイツはキリスト教の文化圏なので、金曜日に肉類を避けて魚を食べることが推奨されており、その理由や由来には興味深いエピソードがたくさんあります。

この習慣は、イエス・キリストの受難を悔い改める意味が込められており、歴史的に見ても長い間受け継がれてきたものです。

この記事では、その由来や現在のドイツでの実情について、ご紹介します。

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目次

なぜ金曜日に肉を避け、魚を食べるのか?

お魚料理と野菜の付け合わせプレート

私たち夫婦は食べ物の話をするのが大好きで、「今日のお昼は何食べた?」「今夜はどこの産地のワインにしようか?」など、日常的に食事の話で盛り上がっています。

そんな中、結婚前からはねうさ夫がよく言っていたのが、「今日は金曜日だから魚だったんだよ」という言葉。

最初は、まるで日本の「日曜はカレー」みたいな家庭内ルールなのかと思っていました。

でも気になって理由を聞いてみると、彼はこう答えました。

「金曜日はイエス・キリストが亡くなった日だから、肉を食べないんだよ」

へ〜〜〜!そういう背景があるのか!と、思わず納得。

そういえば以前、イタリアの伝統的なレストランを紹介するテレビ番組で、レポーターが食べたかった料理が「今日は曜日の関係で出せない」と言われて驚いていたシーンを思い出しました。

隣にいたイタリア人カップルが、キリスト教の教えに基づいた曜日ごとの食習慣について説明していたのです。

たとえばイタリアでは、金曜日は肉を避けて魚料理を食べ、木曜日はその前の日なので「お腹をしっかり満たすためにニョッキを食べる」という伝統があるとか(地域による違いもあるようです)。

キリスト教では、金曜日はイエス・キリストが十字架にかけられた受難の日とされ、古くから「犠牲」や「節制」を表す日とされていて、特にカトリック圏では、肉(=喜びや贅沢の象徴)を避け、代わりに魚を食べる習慣が根付いてきました。

この風習は現在のドイツでも一部地域に残っており、金曜日に魚料理を提供するレストランや、スーパーの鮮魚コーナーが賑わう理由にもなっているようです。

カトリック教徒の食習慣:金曜日の魚料理が持つ深い意味

グリルサーモンとローズマリー

実は、金曜日にお魚を食べる習慣は、多くのキリスト教徒にとって深い宗教的意味を持つ伝統です。

この習慣は、イエス・キリストの受難と死を悔い改めるためのものとして、キリスト教の信仰に根ざしていると言います。

この習慣は、中世ヨーロッパにおけるカトリック教会の指導に由来しています。

宗教的な背景として、金曜日は、イエス・キリストが十字架にかけられた「受難日」(Good Friday)とされるため、キリスト教徒にとって特別な意味を持つ日です。

受難日はキリストの受けた苦しみと犠牲を思い起こす日であり、悔い改めと祈りの時間とされています。

このため、当時、カトリック教会は金曜日に肉を避けるよう指導し、その代わりに魚や他の海産物を食べることを推奨したのです。

肉は祝祭や祝賀の象徴と見なされるため、金曜日に肉を食べることは不適切とされ、魚や他の海産物が代わりに食べられるようです。

現代のドイツではどうなっている?

現代のドイツでは、宗教的な理由から厳格に守っている人は減ってきているものの、 「金曜日は魚の日」という食文化として習慣的に続いている家庭もあります。

この伝統は、キリスト教徒が信仰を守る一環として長い間続いており、今日でも多くのカトリック教徒や一部のプロテスタントの間で守られているとのこと。

とは言え、現代ではどうかというと、ドイツ全体では金曜日に魚を食べる習慣は一般的ではないものの、カトリックの地域や家庭では今も見られることがあります。

私の住むバイエルン州はドイツ国内でもカトリックが多い州です。ドイツのド田舎暮らしなので今でもこのような習慣に基づいて生活している人もいます。

ドイツはプロテスタントとカトリックが混在するため、金曜日の魚料理の習慣はカトリックの影響が強い地域でより一般的であり、プロテスタントの地域ではあまり見られない模様。

宗教というよりも「文化的慣習」として根付いている印象です。

ドイツの春には魚メニューが主役に?

さらに、イースター前の「聖金曜日(Karfreitag)」には、肉を避けて魚を食べるという教えに基づき、レストランで期間限定の魚メニューが多数登場します。

普段は肉料理中心の店でも、この時期だけは魚料理のバリエーションが豊富になります。

ドイツでは、出生証明書に両親の宗教宗派が記載される

書類に記入する人

少しお魚と話がそれますが、ドイツに来て驚いたことの一つに、この宗教的な理由での「金曜日はお魚の日」以外に出生証明書があります。

カトリックとプロテスタントの宗派の違いは、はねうさ夫のおじいさんの世代では、同じキリスト教同士でも、プロテスタントとカトリックでは結婚が許されていなかったくらい大きな差だったようです。(こわいよー)

実は、彼の両親が結婚する時に、お母さんの方がカトリックではなかったため、お父さんの両親(はねうさ夫の祖父母)からは大反対されたという経緯があるらしいです。

例えばですが、浄土真宗と法華宗だから結婚反対!とかないですよね….驚きました。

そして、もっと驚いたのが、ドイツの出生証明書には両親の宗教宗派が記載されます。

これがわかったのは、私たちの婚姻届を出すために彼の出生証明書を取り寄せたときでした。

ドイツでは、出生証明書には日本の戸籍抄本に似たような感じで、両親の出身も書かれているのですが、そこにカトリックかプロテスタントかも記載されています。

これには文化の違いを感じました。

はねうさ夫に「じゃあ、これからも金曜日はお魚料理にしたほうがいいの?してほしい?」と聞いたところ

「いや~、ラーメンでもいいよ」とのことでした。

良かった。(笑)

まとめ:知っておくと面白い、ドイツの食文化

「金曜日に魚を食べる」という一見ささやかな習慣にも、実は長い歴史と宗教的意味があります。

ドイツで暮らしていると、日常の食卓にもこうした文化が自然と入り込んでいることに気づかされます。

宗教や信仰に関係なく、旬の魚を楽しむ“魚曜日”として、金曜日の魚料理を楽しんでみるのも良いかもしれません。

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この記事を書いた人

旅行、おいしいもの・ワインが大好きのドイツ在住40代。旅行、デザイン&アート、国際結婚ネタ、語学学習(英語・ドイツ語)のヒントをお届けします。20代後半にアメリカでインターン経験。現在はフリーランス翻訳家。ひょんなことから2017年7月11日より南ドイツ在住。干支と小動物風な行動により、幼少時に父親から「うさ」と呼ばれて育つ。その最愛の父は2021年に他界。気ままに書いてます~
プロフィール詳細は「はねうさぎ」をクリックしてね!
★TabiTabiさんに寄稿した「旅行記」
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