こんにちは!はねうさぎです(@haneusagi_com)です。
先週、はねうさ夫の祖父が亡くなり、昨日お葬式に参列しました。
以前「海外移住の準備で外せない「絶対に持っていくべきモノ」」でも書いたのですが、ドイツに引っ越してから約1年半で、ついに日本から持ってきた喪服を着ることになってしまいました。
御年94歳の長く実りのある人生を歩んだと言っても良い義理祖父。
もちろんこの年齢なので、大往生ですが、ドイツ語力ゼロの私に対してもかわいがってくれ、また、なんだか自分の祖父とも重なるところのある人だったので、今はとても悲しいです。
今回は、備忘録も兼ねて、また、どなたかのお役に立てばと思うので、私が体験したドイツでのお葬式についてのマナーなどを書こうと思います。
また、義理祖父のことは親しみを込めてOpa(オパと呼んでいたため)と記載します。
ドイツは多宗教・多民族国家
まず、訃報を受けたら、故人が信仰していた宗教を確認しましょう。
ドイツ人の約70%はキリスト教徒と言われていますが、同じキリスト教でも、カトリック、プロテスタント、正教などあり、また、キリスト教以外の宗教を信仰している方も多く、最近では無宗教ということで教会でセレモニーを行わない人もいるようです。
Opaは、割と熱心なカトリックだったので、葬儀も地元のカトリック教会の習わしに準じて行われました。
ちなみに、神父さんは、私たちの結婚式の時と同じ神父さんにお願いすることとなったため、日本人の私としては若干、不思議な気分でした。
また、神父さん曰く、ミサの内容や故人とのお別れ、葬儀の前後などの内容、風習には、ドイツの16ある州によってそれぞれ違いがあるそうです。ちなみに、私が住んでいるのはバイエルン州です。
近しい方がなくなった場合、電話やメール、手紙(カード)などで連絡を受けます。
私たちは、ドイツ国外で旅行中だったため、私のWhatsAppでメッセージとして受け取りました。
また、地元の新聞にも訃報が掲載されるので、近所の人や親せき等は、大まかな情報を確認できます。
ドイツの葬儀の日程の取り決めについて
おそらく、義理父が今でも悔やんでいるのではないかと思われるのが、知らせを病院のドクターから受け取ったことです。
ほぼ毎日欠かさず、家族の誰かがOpaを見舞っていたのですが、亡くなる前の2日間、病院へ行くことができな
ったので、その日に行く予定にしていたところ、ドクターから電話を受け取ったということでした。
つまり、家族のだれもOpaの最期には立ち会うことができなかったのです。
ドイツでは、死後、病院に滞在できる時間が一定数で決まっているようで(たしか24時間?)、その後すぐに葬儀屋さんを決めなければいけないらしい。
また、日本のように、故人が「家に戻ってくる」というようなことは無いようで、病院で亡くなってから葬儀が行われるまで、故人がどこに保管されているのか、はねうさ夫に質問してみたけど、わからないと言われました。
ちなみにアメリカに住んでいた時は、お葬式に参列したことは無いのですが、親しい友達のご両親が亡くなった時に、日本とアメリカの葬儀のちがいについて話したことがあるので、ドイツも同じかと思いきや、同じではないようです。
アメリカもドイツも土葬が主流ですが、アメリカの場合は、ご遺体を「衛生保全」する「エンバーミング」と呼ばれる専門家による防腐処理技術が施されます。
ドイツでは、どうやらカトリックが多いからなのか、また、今回Opaはカトリックだからなのか、夫が知らないだけなのかはわかりませんが、エンバーミングはしていなさそうな感じでした。
話がそれましたが、ドイツでは、家族と神父さんが話し合い、葬儀の日程を決めます。
私たちは、旅行を中断して帰国しなければならないかどうか不安でしたが、ドイツの場合は、日本と違って速やかに葬儀が行われることは少ないらしく(日本でも、カレンダーや火葬場などの手続き上、1週間以上時間が空く場合もあります)、帰国した翌日に行われました。
それにしても、旅行先で訃報を受け取れるようになったインターネットやスマートフォンのAppなどの技術には本当に感謝です。
ドイツのお葬式での服装について
映画やドラマでも、欧米諸国のお葬式の様子を見たことがある方も多いはず。
私もそのイメージだったので、日本からきちんとした喪服を持ってきました。オールシーズンで着れる、7分袖の黒のワンピースに、長袖の黒いジャケットのコンビネーションスーツです。
しかし、何と!周りを見渡すと、みんなカジュアル・・・。
義理母には「今日はシックね!」と服装を褒められる?!ほどです。
インターネットで調べてわかったのですが、ドイツのお葬式では、割とカジュアルな服装が多いようで、私のようにきっちり全身黒で髪の毛もまとめて・・・みたいな人はほとんどいませんでした。
もちろん、実の子である義理父は、黒のスーツに白シャツ、黒いネクタイだったのですが、はねうさ夫は紺色のスーツに白シャツ、グレーのネクタイでした。
それもなんで黒ネクタイじゃないのか義理母に聞いたら、「紺色に黒いネクタイは、変でしょ!?」という理由です。
さらに驚いたのは、はねうさ夫の紺色スーツは、私たちの結婚式で新調したスーツです!
まさに冠婚葬祭オールインワン!って感じ。
全体的に、男性の服装は、黒、または紺色のスーツに白シャツ、黒ネクタイ(またはグレーや紺)が多かったと思いますが、「PREMIUM BRAND」とかプリントが入っているまったく普段着の長袖Tシャツにブラックジーンズという人もいました。
女性は、義理母は、黒パンツに明るいグレーのカットソー(!)、Opaのパートナーだった彼女は、花柄のついた(白とブラウンでしたが)黒カーディガンに黒パンツ、参列者では、キラキラのラメ入り黒ジャケットの人もいて・・・・ちょっとびっくりでした。
アクセサリーも、私は黒パールを持っていなかったのでつけませんでしたが、普通にシルバーのピアスやイアリング、大きなメタル素材のペンダントトップのネックレスの人もいました。
「海外移住の際には、日本からは絶対に喪服を持ってくるべし!」とおすすめしたのに、あれ~~~?!って感じです。
ただし、これも、亡くなった方の信仰や地域差、大きな企業でそれなりのポジションだったの方などの場合は、ビシっと皆黒で参列、というケースもあるようなので、黒で間違いはないと思います。
当日の朝は、雪もちらつく寒い日だったので、さすがの教会の中でも寒く、皆コートやダウンジャケットを着ていたので、ミサとお別れの埋葬の時しか参列しなければ、コートと靴が黒(またはダークカラー)なら、見えないし問題ないかも・・・というレベルです。
ただし、夏の場合は、女性のミニスカートや袖なしのトップスなどは、マナー違反と受け止められるようです。
【ドイツの葬儀】教会で行われる葬儀(ミサ)
はねうさ夫の地元の場合、地元の新聞に亡くなった方の情報が掲載されることは書きましたが、墓地の入口や教会にも、ミサの時間と故人の名前が張り出されていました。
黒いポスターに白い縁取りと白文字でした。
Opaのミサは14:30開始でした。
ミサの長さはおよそ40分くらいだったように思います。
私達は、12:00ごろから集まった親戚と軽いランチをとり、ランチの後に義理両親が、Opaのパートナーのガールフレンド(Opaは、94歳にして、ガールフレンド81歳!)をOpaの家まで迎えに行き、一緒に教会まで行きました。
色々なことを考慮してなのか、地域的なものなのかは不明ですが、教会の中にOpaの棺が見当たりません。
ミサは完全にお棺なしで(つまり、故人は教会にいない状態で)行われました。日本人の私としては腑に落ちないというか、勘違いなのかな?と思ったり・・・。
ミサは、時間通りに始まり、2人の神父さんが教会に入ってきました。
一人は、白色に紫色の大きな羽織ものを着ていて、もう一人は、白色に同じ紫色の布地でできた「たすきのようなもの」を斜めがけにしていました。ちょっと服装だけ見ると、お坊さんのような感じでした。
賛美歌や聖書の朗読、オルガンの音楽等があり、神父さんが故人について語ります。
先年月日や家族構成、どのような経緯で結婚し、子供をもうけ、どのような最期だったのか・・・等。
おそらく、家族と神父さんがミーティングして、その時の情報をもとに神父さんが個人について語る内容をまとめ、ミサの時に話す、という流れだと思います。(私たちの結婚式の時も、神父さんとのミーティングがあったため)
この神父さんがとてもお話がお上手な方で、とても素晴らしい故人についての語りでした。とても心に訴えかけるモノがあり、私たち家族は皆泣いていました。
普段はロジカルなはねうさ夫も、Opa大好きっ子だったこともあり、とても悲しそうだったので手を差し伸べたら、夫から悲しみが私にも伝わってきて、私もとても悲しくなりました。
神父さんのお話の後には、再度、歌やらオルガンやらあり、最後に「聖餐式(せいさんしき)」と呼ばれる、カトリック教会では、ウェハースのような薄いおせんべいが神父さまから配られ、それを食べる儀式を行います。これをラテン語で「犠牲」を意味する「ホスティア」というらしい。
私は実は、友人の結婚式の時にこの薄いおせんべいを、なんだかよく知らずに受け取って食べてしまったのですが、カトリックでない場合には受け取るべきではないらしい。
と、いうことで、プロテスタントの義理母と私は、おせんべいを受取にはいかず、席で待機。
そのままミサは終了し、教会の裏にある墓地へと移動しました。
【お別れの時】ドイツではほとんどが土葬
ミサの時に、「棺はいったいどこ?!」と疑っていましたが、やはり教会内には無かったらしい。
よく教会から男衆が一緒に運ぶ、とか、家族以外の決められた人が運ぶとか聞いていたけれど、教会の横にある建物の前に置かれていました。棺の上は、赤と白のお花で盛られている感じ。
棺の両サイドにはお花が置かれていました。リボンなどがついていて、何か書かれていたので、どなたかから贈られたものなのではないかと想像しました。
家族が棺の横に並び、反対側に警察官がかぶるようなものに十字架がついている帽子をかぶった4人の男性たちが並んでいました。
参列者はここで、記帳台のようなところにセットされていた名簿のような紙に名前を記入していました。教会によっては、ミサの前に記帳するところもあるようです。
次に、神父さんがやってきて、何か香りのある木か葉っぱを燻した煙を棺の周りに拡散させ、小さな柄杓のようなもので水をかけ、歌を歌い、何かを読み上げた後、私たちの反対側に立っていた4人の男性が棺を運び、事前に準備されていた埋葬場所まで運びました。
この間、参列者たちは、神父さんの後方に横並びで並んで立っている感じで、棺の横にいた私からは参列者の様子が良く見えました。
2本のロープで棺が穴の中に入れられ、神父さんが最後のお言葉、同じようにお水をかけ、小さなスコップのようなもので土を3回かけました。
ちなみに、火葬された遺灰の場合には、中い歳月をかけて土にかえる特殊なカプセルのようなものに入れられて、こちらも土の中に埋められるそうです。
さすが、こんなところでもエコ大国、ドイツ・・・!
その後、家族、親戚、参列者の順で、各自が土を3回かけ、各々が持参したお花(1本+グリーンのパタンが多かったです)を投げ入れていきます。
日本のように故人と対面して、最期のお別れということはありませんでした。
私は、キリスト教徒ではないので、十字架を切ることに抵抗があるため、土を入れてお花を投げた後、日本式に両手を合わせました。こういうのは気持ちだと思ったので・・・。
葬儀が終わったらティータイム
ドイツのお葬式の場合、故人の家族からの指定がない限り、誰でもお葬式に参列できます。
ミサだけ参列しても良いですし、埋葬だけ参列しても良いし、もちろん両方でも参加者の意思で決めることができるようです。
自由だな~ドイツ人。
埋葬もあっさりしていて、終わったらそのまま帰る人もいるし、その後に設定されたティータイム(コーヒータイム)に参加することもできます。
私達は近くのカフェへ移動しました。
大抵は、家族、親戚、故人の親しい友人などで、コーヒーやお茶とケーキをいただきながら(ビールを飲んでいる人もいました)、故人との思い出話や、親族の近況などを語りあいます。この辺は日本と同じです。
地域によっては、ホテルのティールームに行ったり、食事を用意したりするところもあるようですが、コーヒーにケーキが一般的なようです。
とても寒い日だったので、甘いものとお茶で体も温まり、一通りの葬儀も終わって少しほっとする時間でもあります。
その後は、家族と親族だけ(私たちの場合は、Opaのパートナーも一緒に)で自宅へ移動し、パンやサラミ、チーズなどの軽食Brotzeit(ブロートツァイト)を取りながらビールやワインを飲みました。
私の日本の地元では、家族親族はもとより、葬儀をお願いしたお坊さん(うちの家族は法華宗です)ご近所のお世話になっている方や、故人の友人などを交えて、食事+大宴会みたいにかなり盛大にやるので、ドイツの「家族だけのプライベート感満載」というのに少し驚きました。
もちろん、親戚が帰った後は家族だけの話となります。
少し驚いたのが、Opaのパートナーが、私達家族に対して「もっといい治療ができたんじゃないか」などと非難したこと。
彼女は、バイエルン州ではない別の州に住んでいて、何か月かOpaと一緒に過ごした後に自宅に戻り、また来るという生活を送っていました。
私に対しても、いまだに、はねうさ夫とドイツ語で会話していないことや、葬儀の時に手をつないでいたことに対して「いいわよね~、手なんかつないで。私にはもう手をつなぐ人がいない」とイヤミまじりの発言をしたり・・・と、気持ちは察するけど、こんな時に・・・と、ちょっと驚きました。
そして、また驚いたのは、ドイツでは、その年に誰かが亡くなっても、クリスマスはお祝いするとのこと。
日本だと、お正月はひっそりと過ごしたり、年賀状や挨拶訪問を遠慮する等「喪に服す」習慣があると思うのですが、やはりそれは、日本の場合、亡くなった方が「仏」になるという考え方があることと、キリスト教の場合、クリスマスはあくまでもイエス・キリストの誕生を祝うもので、クリスマス自体が亡き人との関連性がほぼ無いからなのだと予測します。
とは言え、この寒くてグレーなドイツの冬。
来月にはもうクリスマスなので、義理両親は、今まで一緒に過ごしていたOpaのいないクリスマスは耐えられないということで、南米への旅行を計画しています。
ドイツに「お通夜」は無い!最後のお別れもない!
ドイツのお葬式は私の日本の実家地域と比較すると、あっさりしていると感じます。
ドイツ人の合理性が垣間見れる気がしたのが、いわゆる「家族のバタバタ感」が全くないこと。
もしかしたら、私たちが旅行の間にいろいろあったのかもしれませんが、前日も当日も、まるでいつもの毎日のような感じでした。
日本では自宅やセレモニーホールなどと呼ばれる別会場でお通夜や葬儀が執り行われる場合が多いと思うのですが、ドイツにはお通夜の習慣はない模様。
また、家族は「遺体の見張り番」と言っては変ですが、私の両親の地元では、お通夜から夜通し故人と一緒に一晩過ごし、飲んだり食べたり宴会したりということをするのですが(もちろん、日本でも地域差はあると思います)、それもドイツにはありません。
アメリカの場合は、Viewingと呼ばれる、日本のお通夜のようなものにあたる、故人に別れを告げ、遺族と話をするイベントがあるのですが、ドイツにはないです。
故人との最後のお別れも結局しないまま、埋葬となりました・・・。
日本だと棺越しに故人と対面できたり、お顔の部分だけに窓がついたタイプの棺もあるかと思うのですが、私たち家族には最後のお別れはありませんでした。
私は、故人との対面がないことに違和感があり、はねうさ夫に聞いてみると、逆に「気持ち悪い」というのです。
義理両親にも聞けない状況なので、インターネットで調べてみると、教会や地域によっては、葬儀の前や前日に「最後のお別れ」ができる場合もあるとか。
私は、最後の最後までOpaとお別れができなかったことが、なんだか「腹落ち」していなくて、消化不良な感じです。
最後に病院にお見舞いしたときに、私のことを覚えていたし、看護婦さんからは「元気になっている」と言われたので、まさか・・・というショックと悲しみでいっぱいなのです。
ドイツのお葬式への持ち物
ドイツ語で、お悔やみの言葉「お悔やみ申し上げます」という意味として、
Herzliches Beileid.
Aufrichtiges Beileid.
Herzliche Anteilnahme.
などがあります。
私は、日本の両親からお悔やみを申し上げると、義理の両親に伝えました。
また、ドイツでお葬式に参列する場合には、参加者が各自お花を持参します。
色は決まりが無いらしく、白の方が多かったともいますが、義理母は赤いバラを用意していました。
バラ一本に多少葉っぱ系のモノでまとめられている小さなお花が主流のようです。
リースやお花を送りたい場合にはお花屋さんや遺族に相談した方が良いでしょう。
また、ドイツに「香典」という習慣もありません。
参列者の多くは、カードを持ってくるか、遺族の自宅のポストにカードを入れたり遺族に直接手渡ししたりします。
カードには、故人との思い出や、遺族へのお悔やみの言葉などが書かれており、「お花代」のような意味合いで、現金が同封してある場合もありました。
相場は20~30ユーロのようです。
また、香典が無いので、香典返しもありません。
どこまでも合理的なドイツのお葬式。
葬儀の決まり事も少なく、葬儀を行う家族の負担も少ない、自由なドイツらしいな~と思いました。
ただ、私個人的には、大宴会も最期のお別れもなく、なんだか寂しい感じがしました。
実際、今朝の義理父の顔はとっても悲しそうでした。
直接の血縁者ではない自分がこんなモヤモヤした気分なんだから、義理父やはねうさ夫はどんな気分なんだろうと思うと胸が痛みます。
短い間でしたが、Opaとの思い出、また自分の祖父が亡くなった時とのオーバーラップなどがあり、このブログで多くを語ることはとても難しいのですが、Opaのご冥福をお祈りするとともに、これからの自分のドイツ生活への考え方等についても考えさせられる出来事となりました。
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