こんにちは!はねうさぎです(@haneusagi_com)です。
1月6日は「スリー・キングス・デー(公現祭)」と呼ばれる日で、キリスト教の伝統において非常に重要な祝日です。
この日は、東方の三博士(スリー・キングス)がイエス・キリストの誕生を祝うために贈り物を届けたことを記念しています。
特にドイツでは、この日を祝う独自の風習が多く残っており、地域ごとにさまざまな伝統が受け継がれています。
この記事では、「スリー・キングス・デー」とは何なのか、そしてドイツではどのようにお祝いされているのかを詳しくご紹介します!
ドイツの一部州では祝日となる「スリー・キングス・デイ(Heilige Drei Könige)」とは

「スリー・キングス・デイ」とは、ドイツ語で「Heilige Drei Könige(ヘイリゲ・ドライ・ケーニゲ)」と呼ばれる日です。
この正式名称は「Tag der Heiligen Drei Könige(聖なる三王の日)」で、英語では「Day of the Holy Three Kings」となります。
直訳すると「聖なる3人の王の日」といったところですが、ここでは親しみやすく「スリー・キングス・デイ」と表記します。
他にも「公現祭(東方の三博士の来訪記念日)」や「エピファニー」と呼ばれることがあり、在日ドイツ大使館のウェブサイトでは「三王来朝」という表現が使われています。
いずれも、東方の三博士がイエス・キリストに贈り物を捧げた出来事を記念したキリスト教の重要な祝祭日を指します。
ドイツのどの州で祝日になるの?
ドイツは連邦制の国であり、祝日も州ごとに異なります。1月6日のスリー・キングス・デイが祝日になるのは、カトリック信者が多い地域の以下の3つの州です:
- バイエルン州
- バーデン=ヴュルテンベルク州
- ザクセン=アンハルト州
これらの州では、学校や多くの企業が休みとなり、地域ごとの伝統行事が盛んに行われます。
一方で、祝日ではない州でも、キリスト教徒やカトリック教徒のコミュニティではこの日を特別に祝うことが一般的です。
The Local de「Three Kings’ Day: What you should know about Germany’s first public holiday of 2020」
スリー・キングス・デイの重要性と特別さ
1月6日の「スリー・キングス・デイ(Heilige Drei Könige)」は、カトリック教会や聖公会においてクリスマスと並ぶ非常に重要な祝祭日です。
この日は、東方の三博士がイエス・キリストに贈り物を携えて訪れた出来事を記念するもので、キリスト教の信仰において特別な意味を持ちます。
一部の地域では祝日として公式に認められているほか、地域ごとの行事を通じて、信仰と伝統を深める重要な日として広く祝われています。
クリスマスだけでなく、この1月6日の特別な意味が、ドイツの文化やキリスト教の行事において強く根付いています。
クリスマスイヴが始まりで、スリー・キングス・デイがクリスマスの終わり

12月25日のクリスマスは、神の子であるイエス・キリストの誕生日(とされている)というわけで、ドイツではその前夜祭的な感じで12月24日の夕方から大きくお祝いするわけですが、1月6日に何が起こったかと言うと、聖書にその言い伝えが書かれているというのです。
イエスが誕生した際に、3人の王(日本語では「博士」や「賢者」と訳されます)が、東方から12日間にわたって、砂漠を横切る星の道をたどり、赤ん坊のイエスを見つけます。
その12月25日に誕生したイエスの元にこの3人の王(博士/賢者)がたどり着き、キリストが神の子として誕生したことを公にした記念日が1月6日と言うわけです。
王の名前は、Caspar(カスパー)、Melchior(メルヒオァー)、Balthasar(バルタサー)と言われています。
そしてその時、この3人の賢者は、贈り物を持ってきていたのだとか。
贈り物は、それぞれ、「黄金(ドイツ語:Gold,)」、「乳香(ドイツ語:Weihrauch)」、「没薬(ドイツ語:Myrrhe)」の三品。
オーストリアでは、「Weihnachtszwölfer」と呼ばれ、クリスマスを12日間祝うという古い習慣に由来していると考えられているそうです。

つまり、1月6日は、正式にクリスマスが終わる日なのです!
ドイツではこの日がクリスマスシーズンの締めくくりとして位置づけられており、家庭や教会ではクリスマスの飾りを片付ける日ともなっています。
日本だと、12月26日には急にお正月飾りに取り換えられると思いますが、ドイツでは1月6日にクリスマスツリーを片付ける、またはオーナメントを外すことが多いので、クリスマスツリーは年末年始も飾ってあります^^
本来1月6日にはクリッペに三人の賢者を追加して祝う?


クリッペとは、もともとは、「馬のえさを入れる桶」を意味する言葉。
クリスマスシーズンになると、イエス・キリストの生まれた馬小屋の情景を木彫りや粘土などで模した、この「クリッペ」と呼ばれる人形・フィギュアが教会やクリスマスマーケット、各家庭に飾られます。
我が家にもクリッペがあるのですが、いつもこの人形たちの配置が良くわからない・・・。
はねうさ夫曰く、「三人の賢者は、贈り物を持っているからわかりやすい」と言って、何か手に持っている人形たちを小屋に「駆けつけている」かのように配置していました。
この賢者たちはそれぞれ黄金、乳香、没薬を携えてイエスに贈り物を届けたとされているのです。
はねうさ夫曰く、「めっちゃくちゃ信仰深いキリスト教の人は、この3人の賢者を1月6日に追加して光を灯して祝うんだ」との事。
つまり、クリスマスはイエスの誕生を再現したクリッペで祝い、1月6日に現れた3人の賢者は当日に出現するようにするという事になります。
参照:Newsweek「When Is Three Kings’ Day and How Is It Celebrated?」
ドイツでは1月6日はどのようにしてお祝いするの?


スペインや南米のカトリック教徒が多い国、さらにはアメリカの一部地域では、パレードなど華やかなイベントで「スリー・キングス・デイ」を祝うことが一般的です。
一方、ドイツでは子供たちが「シュターンシンガー(Sternsinger)」として地域の家庭を訪れる伝統が続いています。
「シュターンシンガー」とは、子供たちが東方の三博士に扮して歌を歌い、慈善活動のために寄付を募る行事です。


訪問した家の玄関ドアの上には、日付と共に「C + M + B」とチョークで記されます。



例えば、2025年なら「20*C+M+B+25」といった形です。
この記号には、以下の意味が込められています:
- 「C+M+B」は、三博士の名前(Caspar, Melchior, Balthasar)の頭文字、またはラテン語で「Christus Mansionem Benedicat」(イエス・キリストがこの家を祝福する)の略を表します。英語に訳すと「Christ bless the house」というニュアンスです。
- 星(*)はベツレヘムの星を、十字架(+)は聖三位一体(父、息子、聖霊)を象徴しています。
この日はキリスト教の祝日としてだけでなく、三博士の訪問を通じて新しい年の始まりを祝う象徴的な日ともいえます。
コロナ禍では自粛されましたが、例年では子供たちが地域を回る様子が、この日の風物詩として親しまれています。
ドイツの街を歩くと、家のドアやポストにこのような「C + M + B」の記号が書かれているのを見かけたことがあるかもしれません。
それは、スリー・キングス・デイに関連した伝統であり、家々が祝福された証でもあります。
このシンプルなチョークの文字には、深い信仰と新年を迎える希望が込められているのです(参照:The German way and more「Epiphany and the Sternsinger」)
それにしても、なぜ「王」と言ったり「賢者」と言ったりするの?本当は?


ドイツ語では「Heilige Drei Könige(聖なる三王)」と呼ばれるこの日、英語では「Biblical Magi」と表現されることもあります。
「三博士」や「三賢者」、さらには「三王」など、呼び方が様々ですが、これにはどのような背景があるのでしょうか?
「Magi」とは何者?
「Magi(マギ)」はラテン語での複数形で、単数形は「Magus(マグス)」です。
本来、この言葉は古代ペルシャのメディア王国で宗教儀式を担っていた祭司階級を指していました。
新約聖書の『マタイによる福音書』では、東方(ギリシャ語で「anatole」)からやってきた「三博士」がイエス・キリストを訪れたと記されています。
そして、この「三博士」は星を見て導かれた占星術師、または天文学者であったとされています。
やがて、「Magi」という言葉は、知恵や超自然的な力を持つ存在を指す言葉として広がり、英語の「magic(魔法)」の語源にもなっています。
つまり、三博士は「星を読み解く力」や「知恵」に象徴される賢者である一方で、権力を持つ「王」としてのイメージも後世で付け加えられました。
「王」と「賢者」の違い
日本語で「王」というと、現代の権力者や支配者のイメージを連想しがちですが、ドイツ語の「König」や英語の「King」には必ずしもそのようなニュアンスだけが含まれているわけではないようです。
歴史的な背景や文化の違いが、私たち日本人にとってギャップを感じさせる理由かもしれません。
そのため、「博士」や「賢者」といった訳語が使われているのだと思います。
3人の賢者にまつわる興味深い話
伝承によると、3人の賢者のうち1人、メルヒオール(Melchior)は濃い肌の色をしていたと言われています。
そのため、クリッペ(キリスト降誕の模型)にはブラウン系の肌の色をした賢者の人形が含まれることが一般的です。
しかし、近年ドイツでは「メルヒオールの肌の色が人種差別だ」と指摘する意見が出てきているそうです。
この伝統を再現しただけの人形に対して、なぜ人種差別だと見なされるのかは議論の余地がありますが、こうした意見も存在しているのは興味深いところです。
今後、この議論がどのように進むかは不明ですが、もしかするとクリッペの賢者たちの肌の色が統一される未来が来るのかもしれません。
それもまた「ドイツらしい」と言えるのかもしれません(苦笑)
スリー・キングス・デイは新しい年の始まりを告げる象徴


1月6日の「スリー・キングス・デイ(Heilige Drei Könige)」は、キリスト教の祝祭日であると同時に、新しい年のスタートを象徴する特別な日であることをお伝えしました。
子供たちが参加する「シュターンシンガー(Sternsinger)」の活動も、「キリストがこの家を祝福する」という意味を持ち、新しい年が安全で幸福に満ちたものであるよう願いを込めたものです。
東方の三博士がキリストに贈り物を捧げた物語は、新たな希望と導きを象徴するものとされ、スリー・キングス・デイそのものが新年の始まりを祝う重要な行事として位置づけられています。
さらに、多くの地域ではこの日を一年の健康や幸運を祈る日と見なし、特別なミサや行事を通じて家族や地域の幸福を願う伝統も続いています。
スリー・キングス・デイは、単なる宗教行事を超えて、新しい年のスタートを祝う象徴的な一日として、ドイツの(特にカトリック信仰の)人々にとって特別な意味を持つ日とも言えるでしょう。


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