こんにちは!はねうさぎ(@haneusagi_com)です。
今回は、ドイツの食べ物についてのお話です。
日本人が思い描くドイツの食べ物の代表として、「ジャーマンポテト」、「ソーセージ」、「バウムクーヘン」があると思いますが、ドイツ人的にはどう思っているのでしょうか?
先日、言語交換の相手と料理についての興味深い会話をしました。
例えば、日本の春には店頭に菜の花が並びますが、ドイツではそれほど一般的ではないことや、両国の料理習慣の違いなどについて話し合いました。
今回は、日本でおなじみのドイツグルメに関するトピックとして、「ジャーマンポテト」、「ソーセージ」、「バウムクーヘン」についての興味深い事実を紹介します。
「ジャーマンポテト」という料理名はドイツには存在しない!

以前、フランクフルトメッセにて、メッセ主催のメディアディナーに招待いただく機会がありました。
その場で日本から来ていた複数のメディア関係者の方々とお話しする中で、自己紹介として「ドイツ在住のフリーライターです」とお伝えしたところ──
「ドイツのグルメといえば、やっぱりジャーマンポテトですよね!」というコメントが飛び出しました。
…そこで私は、思わずこう返してしまいました。
「実はですね、ドイツに“ジャーマンポテト”っていう料理、存在しないんですよ〜。」
その瞬間、「ええええええええ?!」
というリアクションと共に、会場にプチざわめきが(笑)
あれ?私、何かヘンなこと言ったかな…とちょっと不安になったので、後日この話をドイツ人のタンデムパートナーに話してみたところ──
「それは面白すぎる!!」と大爆笑。
実は彼女、日本に「ジャーマンポテト」という名前の料理があること自体、知らなかったのです。
しかも「それってどんな料理なの??」と逆に聞かれる始末(笑)
ということで、みなさん!
実は、ドイツには「ジャーマンポテト」という料理は存在しません。
これはおそらく、海外で暮らす誰かが「ドイツっぽいジャガイモ料理」に勝手に名付けた「和製ドイツ料理名」なのではないかと推測されます。
念のため「ジャーマンポテト」で検索してみたところ、レシピサイトにはたくさん出てくる一方で、Wikipediaの記述も見つけました。
「German fries」または「German fried potatoes」として、19世紀には英米の料理本に登場している。
ドイツ料理と思われることが多いが、実際のドイツには「ジャーマンポテト」という料理はない。
類似するドイツ料理としては「Speckkartoffeln(シュペックカルトッフェルン)」や「Bratkartoffeln(ブラートカルトッフェルン)」がある。
──とのこと。
なるほど、やっぱり「ジャーマンポテト」は「和製造語」だったのですね!
私の住む南ドイツでは「Bratkartoffeln(ブラートカルトッフェルン)」や「Kartoffeln mit Speck(ベーコン入りジャガイモ)」という名称で、似たような家庭料理が親しまれています。
つまり、日本でよく知られている「ジャーマンポテト」は、日本でアレンジされた「ドイツ風」料理ということになります。
なので、もしドイツに来て「ジャーマンポテトが大好きなんです!」なんて言ってしまうと、ドイツ人はきっと「???」という反応をするでしょう。
もちろん、話のネタにするには最高です(笑)
ドイツのジャガイモの種類に関しては以下の記事でも少し触れていますのでぜひご覧ください。

ドイツと言えばソーセージ!パニック買いもソーセージ買いだめする?は嘘

まるで合言葉のように「ドイツと言えば?」と言う質問に、多くの方が「ソーセージ!」と答える現実。
パンデミックの始めにロックダウンになりかけていた頃、各国で「パニック買い」が起こりました。
そのお国柄の違いをSNSで語っていた日本人やアメリカ人の友人が多かったですが、興味深いことに、皆さん、「ドイツ人は、ソーセージを買いだめした」と話していたのです。
実際には、ドイツで真っ先に売れたのは、小麦粉とパスタ、トイレットペーパーでした。
自宅にいる時間が長くなるので、自分でパンを焼いたり、タルトやケーキ、クッキーを焼く人が増えたからだと思います。
自分で焼けば、パン屋さんへ行く必要もなくなり、一石二鳥ですしね。
さて、ソーセージに話をもどしますが、皆さんが想像するドイツのソーセージは、どのような物でしょうか?
ドイツのソーセージは、ビールと同様、ご当地性があります。
地域によって、色、材料、長さ、太さ、調理の仕方などなど、さまざまなものがあります。
ちなみに、ソーセージはドイツ語では「Wurst(ヴルスト)」と言い、WとUの組み合わせが上手く発音できない私は(多くの日本人は)、未だに夫から発音を笑われてますが、ドイツでは、ソーセージとは言わず、ヴルストです!(笑)
スーパーやお肉屋さんへ行けば、
- 加熱ソーセージ Brühwurst
- 非加熱ソーセージ Rohwurst
- 煮ソーセージ Kochwurst
- 太物ソーセージ(ランチョンミート)Aufschnitt
等など、沢山の種類が販売されていて、迷ってしまうほどです。
有名なのは、ニュルンベルクソーセージ、白ソーセージ、フランクフルトソーセージ、チューリンゲンソーセージ(テューリンゲンソーセージ)等です。
ちなみに、日本のいわゆる「ソーセージ」は、加熱ソーセージがほとんどであると言ってよいでしょう。
そして、実は、その色々あるソーセージの中で、ドイツでは、生ソーセージと言うものがあります。
生ソーセージは「非加熱ソーセージ」とはまた少し違い、作った当日または翌日までに食べなければいけない、作りたてほやほやの「フレッシュ」なソーセージの事。

もちろん保存料は使われていません。
日本でも生タイプのソーセージが真空パックに入って販売されているのを見かけますが、あれよりもさらにフレッシュな、生ソーセージです。
大抵の南ドイツ人は、「ソーセージ=フレッシュソーセージ」を想像します。
フレッシュソーセージは、「frische Bratwurst」と言われ、炭火やフライパンでグリル、または焼くことが前提のソーセージ。
ドイツでは、食べるその日に作られたものを買います。
ですので、「ドイツ人は、パニック買いにソーセージ」と言うのはウソです。
基本的に、サラミのように加工・加熱し、乾燥保存されているソーセージ以外は、長期保存は難しいからです。
また、近年ベジタリアン+ヴィーガン者数が、EU内でダントツに多いドイツでは、あまりソーセージを好んで食べる人が少なくなっている、とも言われています。
ドイツ人はバウムクーヘンを食べない?実はバウムクーヘンを知らない人もいる!


最後に、「ドイツと言えばバウムクーヘンだよね!」と言うのも、微妙です。
確かに、バウムクーヘンの発祥はドイツと言われていますが、一度義理両親に、日本からのお土産でバウムクーヘンを買ってきてあげたら「なにこれ?」と言われました。
ドイツ語で「バウム」は「木」、「クーヘン」は「ケーキ」を意味しています。
「バウムクーヘンです。ドイツのお菓子と聞いています
」と、張り切って答えたら「あ~~~、バウムクーヘンね!なんで日本でバウムクーヘン?!ま、でもいいわ、ありがとう・・なんかでもドイツのと全然違うね」と言われました。


後で調べてみると、実はバウムクーヘンの発祥は、旧東ドイツとのこと。
南ドイツや西ドイツの人にはあまり馴染みがないのも事実で、実はドイツ人はあまり食べませんし、知らない人もいるようです。
また、日本のバームクーヘンと、ドイツのそれとではかなり味が違います。
日本で販売されているバームクーヘンは、日本人の好みに合わせて変化・進化したと思われ、ふわふわ!しっとり!など、ドイツのお菓子とは食感が違います。
また、基本的にドイツでは専門店以外では、通年販売されているわけではありません。
ドイツの北地域や東地域のクリスマスマーケットに行くと売っていたり、冬になるとチョコレート掛けのバームクーヘンがスーパーで販売され始めるなど、どちらかと言うと「冬のお菓子」のイメージです。
また、ドイツのクリスマスのパンである「シュトレン」とコンセプトは同様で、ドイツのバームクーヘンは、スパイスやアルコールが練りこまれていることが多いです。
割と、固くてパサついた食感のものが多いドイツのバームクーヘンは、乾燥を防ぐために、チョコレートやフォンダンクリームでコーティングされている事が多いです。
とはいえ、日本人が好きなバームクーヘンの有名店というのも存在しますので、冬に、ドイツへ来た際には、ぜひケーキ屋さんやお菓子やさんを覗いてみてくださいね。


日本では有名な「ドイツと言えば」はドイツでは微妙だった


今回は、日本人が「ドイツと言えばこのグルメ!」と思い浮かぶ、
- ジャーマンポテト
- ソーセージ
- バウムクーヘン
についての真相?!について豆知識をお伝えしました。
以外と、イメージだけが先行して、事実と反する事というのはどこででも起こり得ますよね。
変な例えですが、「日本人はみなちょんまげで着物着て、寿司食べてる」とか(笑)
最近のドイツのお料理は、色々なヨーロッパや中東、北欧などの要素を取り入れたオシャレなものになってきていますし、意外と日本人が思う「ざ・ドイツ」と現実は違ってきているのが現状かなと思います。


コメント