こんにちは!はねうさぎ(@haneusagi_com)です。
ドイツが環境大国であることは、何かで聞いたり読んだりした事のある方は多いはずです。
私も、ドイツへ来る前には「ドイツって環境問題に積極的に取り組んでる最先端のヨーロッパの国」というイメージがありました。
今回は、実際に私がドイツへ移住し、日々の生活の中で実感するドイツという国、またはドイツ人の環境意識の高さや、住んでみて驚いた制度や取り組みをご紹介します。
ドイツ驚きの環境への取り組み1:リサイクルシステム
日本も都道府県によるかもしれませんが、「ごみの分別」や「リサイクル」に力を入れている国のひとつだと思います。
東京都は指定のごみ袋もありますし、粗大ごみは有料廃棄、瓶や缶などごみの分別は当然となっています。
現在は条令が変更されているかもしれませんが、私がアメリカに住んでいた時のずさんさには若干驚きました。
アメリカは国土が広大なので、基本ごみは土に埋める形で処理されていると聞きました。
一方で、ドイツはどうかと言うと、一番驚いたのは「ガラス瓶の色まで分別する」ということです。
日本は近年、焼却処理能力が高く、極力有害ガスを排出しない焼却処分施設が完備してきており、以前は分別していたプラスティック製品や生ごみ、紙類を一緒にゴミに出すことができるようになっていますが、ドイツの場合は、パッケージやラップなどのプラスティック製品、生ごみ、古紙、瓶、缶、その他と分けてゴミに出すのが一般的です。
ドイツでは、巨大なコンテナを「Tonne(トンネ)」と言うのですが、コンテナが色分けされており、わかりやすくなっています。
●生ゴミ (Bio-Müll):茶色、または緑色のコンテナ(うちは茶色です)
●古紙 (Altpapier):青色のコンテナ
●リサイクル用容器包装 (Verpackungen):黄色のコンテナ、またはゲルプザック(Gelber Sack)と呼ばれる半透明の黄色いゴミ袋。
※リサイクルマークがついていることもあります
ゲルプザックには、プラスティック製品、ラップ類、金属製または複合材料の容器の包装を捨てます。
例えば、デポジットのないアルミ缶とペットボトル、洗剤ボトル、ヨーグルトの容器、食品缶、コーヒーの真空包装、ポリスチレン包装など。
空の黄色い袋はリサイクルされませんが、代替燃料として使用されるとのことです。
地域によってはクリーム色のコンテナにKunststoff(プラスチック)、またはMetall(金属)などと書かれたものもあるようです。
そして、生ごみの場合は、本当に生ごみだけを出さないといけません。
何かの袋に包んで捨てたりするのはNGとされています。再生されませんからね。
かなり徹底しています。
ちなみに、私の住んでいるマンションでは、「ごみの分別をしなくていい」byはねうさ夫・・・とのことなのですが、最近建物のゴミ捨て場に、きちんと「生ごみ」「古紙」「カートン」などと書かれている大きなコンテナが設置されるようになり、「やはり分別するべきなんじゃ?!」と感じています。
はねうさ夫は、ドイツ人ですが「地球環境?まあそんな事言ってる人いるよね」「ECO?ふーん」「地球温暖化?そんなの信じてない」というように、全く環境問題に興味がない人間なので、マンションのごみに関しても「オーナーが、年金受給者のバイトを雇ってごみを分別しているから僕たちが分別する必要はない」と言い放っています。
実際に、分別しているおじさんを見たことはあるのですが、だからと言って自分たちが分別しなくていい、とは私は思っていないので、ある程度自分たちでできるとこは自分たちでやり、分別の仕事をしてくれる人の負担を軽くしたい、と考える私は、やっぱり日本人なのかな?とも思います。
さて、話はそれましたが、ドイツではこのごみの分別の中に「ガラス瓶の色別にも分別する」必要があります。
マンションに設置されている場合もあるかと思いますが、ある一定の場所に巨大なコンテナが設置されており、皆そのコンテナ設置場所まで車で瓶を運んで分別したりしています。
街中にも色別にガラス瓶を分けて捨てるようにコンテナが設置されている場合もあります。
ドイツは、色まで分けるのかあ・・・・と、驚きました!
ドイツ驚きの環境への取り組み2:エネルギーシステムと「エコ税」
ドイツ人は全体的に環境問題への意識が高いです。
ドイツ語学校でのトピックも、B1~B2くらいになると、必ず環境問題に関する短い記事や文献を読むことが増えますし、その中から、環境問題に対するドイツ語単語を学んでいくというシステムがとられています。
語学学校でもそのようなトピックが取り上げられる理由として、やはり日常的に、環境問題に関するニュースが多く発信されていることがあげられると思います。
ドイツ人とディスカッションしたりするときにも、きっと役に立つのでしょう。
さて、その環境問題に敏感なドイツ人ですが、ドイツは環境に関する活動が大好きで、環境に悪影響を与えるものには高い税金を課せよう、という流れがあります。
そう、「エコ税(Ökosteuer)」なるものが存在します。
例えば、ドイツでは、1951年から石油税が課されており、2007年には条例が改正され、1リットルあたり65セントが課税される方針に引き上げられました。
ガソリンやディーゼル油に課税され、再生エネルギーに対しては課税されないのがポイントで、要するに、地球環境に優しくない、環境破壊を促進するようなモノや商品には、大いに課税しよう!という考え方なのです。
ドイツ政府の基本的な概念は「資源消費を減らすことにより、環境を保護し、労働に対しては低税とし、それにより多くの雇用を生み出し、税収を増加させ、社会保障システムを強化する」ということらしいです。
最近は、「飛行機にかかる燃料サーチャージをもっと引き上げるべきだ!」とか「アウトバーンのスピード制限をするべきだ!」とか「自動車産業メッセの会場前で大規模なデモが行われる」等のムーブメントがあり、ドイツ国内でも賛否評論となっています。
私から見ると、例えば飛行機の燃油税が上がったら、「旅行がきついなあ・・・日本への帰国もキツクなるかも・・・」という不安や、「自動車産業ってドイツ経済を支える大きな産業のはず・・・なぜデモが起こっている?!」とか、色々な目線で考えると、複雑な気分です。
とは言え、こういった議論は日本ではある程度されるものの、大きなうねりとまではなっていないと思うので、国民の関心度が高い!という意味で、やはりドイツの環境問題への取り組みはスゴイと思います。
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ドイツ環境への取り組み3:プラスティック製品の削減
ここ数年、全世界で関心が高まっている「プラスティック製品の削減」問題。
海へ流れ出てマイクロプラスティックと呼ばれる微粒子レベルになり、海洋生物や動物の生態系と、私たちの食生活を脅かす存在となっているプラスティック製品をできるだけ減らそう、という動きは、ドイツでも高まっています。
プラスティック製品は、正しく使用すれば素晴らしい素材ではありますが、不必要に多く消費され、また廃棄となった場合の対応の仕方に問題提起が起こっています。
プラスティック製品の削減は、ドイツでは素早く対応されている実感があり、実生活でいうと、昨年、ヨーグルトを買おうとすると「もうぐす、この上のフタが無くなります」という告知が表示されていました。
そして、今年、ヨーグルトのプラスティックのフタが、本当になくなりました!
告知の段階で、少し厚めのプラスティックのフタが付いていたので、それを保存用に使ってください、というコンセプトでした。
以下は、ヨーグルト容器に繰り返し使用できるプラスティックのフタ。全てのブランドで使えるので便利
また、スーパーのEDEKAでは(他のスーパーにあまり行かないので他はわかりませんが)、自宅から容器を持って行くと、その容器の中に買いたいチーズやお肉、サラミ等を量り売りしてくれる制度が導入されており、お肉を買う時に入れてもらうビニール袋を削減することができます。
日本のスーパーのほとんどが、生鮮食品はパックで販売していると思うので、その辺を日本も変えることができたらいいのになあ・・・と思います。
以下は、EDEKAスーパーにタッパを持って行って鶏肉を買ったときの写真です。
もちろん、買い物した際の袋は、どこでもすべて有料ですし、レストランではプラスチックストローは使用されなくなりましたし、何度も使えて洗うこともできるラップなども人気で、ドイツ人のエコ意識の高さをひしひしと感じる毎日です。
ドイツ驚きの環境への取り組み4:サステナブルな取り組み
サステナブル(「人間・社会・地球環境の持続可能な発展」を意味)は、日本でも昨今頻繁に登場する言葉です。
個人ひとりひとりの考え方や取り組みもそうですが、企業がサステナブルな製品を打ち出したり、サステナブルなサービスを提供したり、地球環境への取り組みを継続的に行う啓蒙活動などもサステナブルに当たるわけですが、ドイツはこの辺の考え方が、日本より100倍くらい先を行っていると言っても過言ではないでしょう。
例えば、最近ドイツのスポーツブランドであるアディダスから、100%リサイクルプラスティック繊維から作られた靴が販売されたり、その際に繊維工場などの働く人々の労働環境を見直し、公正な労働環境を提供したりしていること等があげられます。
また、近年、ドイツでは、難民・移民を大量に受け入れた結果として、難民による犯罪率が増加しています。
犯罪を起こす理由にはいくつか理由があると思うのですが、一つの理由として「まともな仕事に就けない」ということがあります。
つまり収入が無いわけですが、若くてエネルギー有り余っている若者なんかには、仕事が無いってかなりストレスですよね。
この問題を解決するために、社会的な責任を表明するドイツ企業がますます増えているのです。
例えば、ある団体や資金提供により、難民のデザイナーを起用したハンドメイド製品を販売し、主に女性の社会とのつながりと経済的な自立を支援するような仕組みを提供しています。
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ドイツ人は何故環境への取り組み意識が高いのか
ドイツ語学校へ行っているとき、「ドイツ人は何故環境への取り組み意識が高いのか??」ということを頭の中でぼんやり考えたことがありました。
ドイツ人が口をそろえて「ドイツには森が少ない」「ドイツには自然が少ない」ということをいつも言っていたのが印象的でした。
そうかなあ・・・?
街と町の間を車で走れば、何キロも何十キロも続くのどかな風景に出会い、スキーやハイキング、サイクリングなどを楽しむドイツ人も多く、常に自然と隣り合わせに生活しているドイツ人。
「そんなに自然が少ないようには見えないけど?!」というのが私の個人的な考えでした。
でも実際に、国土における森林含有率というのを日本とドイツで比較してみると、確かに日本の方が明らかに多い!!
日本とドイツの国土面積は、日本の方が大きいとはいえ、ほぼ一緒ですから、ドイツにはいかに森が少ないか理解することができました。
また、南ドイツに住んでいるとあまり感じませんが、北ドイツのほとんどは平地で山と言う山がありません。
ドイツの森、といるとパッと思い浮かぶのが「黒い森」です。
しかし、この「黒い森」は、1980年代に酸性雨枯死問題があり、また、1986年のチェルノブイリ原発事故は、ドイツ人に大きな衝撃を与え「脱原発」「原発反対」と、より環境問題に対して敏感になっていくきっかけとなりました。
2011年の福島原発事故時には、海外ボランティアチームで真っ先に帰国したのが「ドイツから派遣されたドイツ人チームであった」ことはテレビ番組でも取り上げられたのを記憶しています。
また、ドイツには「緑の党」という政治政党まであります。
実は、ドイツには、政治政党だけでなく、こうした環境保全運動、反原発運動によって成立した環境保全団体がたくさんあるのです。
自立・独立したこのような団体やグループの会員数は増え続け、全国各地に団体事務所を構えていたりもするので、個人の活動や市民のパワーが半端ないことがうかがえます。
「ドイツ人は何故環境への取り組み意識が高いのか?」
私自身がこの質問の明確な答えは出せないものの、常に自然の中にいるのが大好きなドイツ人にとっては、その大好きな自然やとりまく環境を守るため、良くするために活動している個人レベルの意識の高さが、政治や法制度をも動かくことがあるからではないかな?と思います。
ドイツ国内で、デモも盛んに行われるので、世論が国に対して影響を与えやすいところも民主主義に超こだわるドイツらしいなあ、という気もしています。
少し真面目なまとめになりましたが、ドイツに住んでいると、日本では考えたことも無かったことを考えたり、知ったりするきっかけになるので、「海外で生活するってこういう事だよね」と最近は思うようになりました。
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